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水素・防爆対策の目安
バンセイから水素を取り扱う皆様に情報収集のお手伝い。
関連情報収集用のかかわり検索キーワードを文中に設けてあります。
 水素・防爆対策の目安―説明内容について
 このページにおいて水素を扱う防爆電気設備の安全対策全てを説明するには、その情報量からして困難があります。
また、ここにアクセスされた方は、既に電気設備工事や危険物取扱い関連のお仕事に携わってるものと思われます。
 これらのことからweb情報が豊富な現況おいて特殊分野の詳細情報を把握するには、目的の
検索キーワードのヒントを水素防爆対策の目安ページを基にして絞り込みして、関連情報にたどりつき易くするのが効率的です。 
 因って、説明の内容はbansei.comページに掲載の製品を例示して、その取扱いを中心に説明してありますので、防爆機器全体の説明としては十分至らない部分もあることをご了承ください。

*更に詳しい防爆設備関連の情報収集は、防爆電気設備の基礎などに移動するか文末に案内の関連資料を入手して安全対策にお役立てください。

水素の特性と扱いの注意
まず、水素の安全性データシートを水素 MSDSで検索して特性を把握して下さい。


気体の中で最も軽い元素で拡散が早い。

 なぜ水素防爆のみの説明か?
 水素は、マーガリンなどの身近な食品加工から、塩酸・アンモニアなどの製造を始め石油精製や金属還元の原材料としてのほか、気体としての熱伝導率と電気絶縁性の良さを併せ持つ特性から、水素を冷却媒体に使う発電所など、これまでその多くは大規模な工業用途であることから中小規模の工場では、あまり目立ちませんでした。
 しかし、近年になり燃料電池をはじめ半導体結晶や金属製造加工のほか、ガスクロマトグラフ分析機や実験用材料など広い分野の研究実験施設など、中小規模の需要先でもオンサイト型の水素製造装置が普及するなど、「水素を消費または生成する」設備が多く組み込まれる様になってきました。
 これらのことから水素を取扱う施設規模の大小に拘わらず、他の爆発性ガスや蒸気に比類ない水素の爆発威力がありますので、小規模、少量の水素ガスであっても、その取り扱いや保管には拡大被害防止までを含めた細心の注意が必要です。

★1・気体の中で最も軽い元素で拡散が早い 
 風船を水素ガス(現在はヘリュウム)で膨らませるのは、軽い気体の例示として広く知られていますが、長時間放置すると風船が萎んでしまうように漏れ易いことも水素の特性です。
 この例からも
水素防爆対策では、漏れやすく軽い水素を扱う施設の配置や設備の状態などに関する安全対策とガスの保管や供給に使う機器材料の構造や品質など、水素脆化や着火し易い水素ガスの特性に応じた安全対策が必要になります。
 通常、大容量の水素を扱う設備は屋外にあり、屋根が必要な場合は空気が滞留しない▼形か平屋根であって、周囲を壁で囲まない開放形の構造であること。また、屋内で水素を取り扱う研究施設などでは、完全な換気ができる室構造かエアー駆動式などの防爆型換気扇で常に完全な換気ができて、万一の水素ガス漏れに対して警報器や安全インターロックを備る必要があります。



爆発範囲が広く漏れやすい

  ★2・水素は爆発範囲が広く漏れやすい
 引火性・爆発性が高い水素の爆発範囲は、空気中の濃度が下限4%~上限75%程度と広いので、ごく微量の漏れから高圧で噴出している高濃度の場所までが爆発範囲です。
 現在、中小ユーザーの多くは
ボンベの色が赤色でロケットの形をした水素脆化の少ない材質でできた高圧容器で供給を受けていますが、これからはオンサイト型の製造設備で水素供給を受ける形態が増えてきます。
 これらのことから、設備の配管(導管)などの機材や機器選定は勿論ながら、施設や設備の管理・保守・点検の在り方でも見直しが必要です。その取扱の一例としても特殊な
防爆工具を使用して作業しなければならないほか高圧ガス保安法労働安全衛生法及び消防法電気設備技術基準などの理解と順守が必要です。
 また、水素は爆発範囲が広く漏れやすいことから、一般設備機器の保守点検内容とは異なる厳しい条件で、水素の諸特性に対応できる規定で機器の機能点検や定期的なチェックが必要なほか、安全維持に関連する水素ガス警報機や換気関連インターロック装置の動作確認なども、安全対策の点検項目に含めておく必要があります。




着火エネルギーが小さいので静電気に注意

 ★3・着火エネルギーが極めて小さいので静電気に注意 
 スグに火が付くどころかスグに爆発するのが水素です。
水素が漏れても開放空間では「直に拡散するから心配ない」との意見もありますが、これは低圧のガス漏れや換気が良い場所の場合であって、水素ボンベ出口や配管から高圧のガス噴出が起きた場合は、噴き出す水素ガスの圧力と量による
爆発限界濃度から、施設の構造によっては広範囲の爆発危険区域が形成されます。
 また、例え低圧少量の水素漏れであっても着火した場合は、目に見え難い薄い青色で高温の炎による火傷など、一般の火炎による被害とは異なる危険性があります。
 このほかの例でも屋外の設備機器修理中に、装置の一部分を覆ったビニルシート内に水素ガスが滞留して引火した例など、軽く漏れやすい水素なりの特性から思わぬ
爆発性雰囲気の形成原因になった報告もあります。
 更に、故障や事故による突然の水素ガス噴出の場合、爆発の原因になり易いのは施設や設備機器ではなく、その場に立ち入る人間が着火原因となってしまう可能性が大きいことです。
 これは、水素の
最小着火エネルギーが0.02 mJと大変小さく、帯電防止処理した作業衣を着用するなどで静電気帯電防止をしていない限り、人体の静電容量(200PF程度)からして、着衣に蓄えられた静電気エネルギーによるスパークから容易に水素ガスに着火して、爆発火災の原因になる恐れがあることです。
 この静電気による障害例は“原因不明の原因”と言われる程に過渡的な現象であることから再現や検証も難しく、安全対策するには類似の現象から推測するほかありません。これら静電気の過渡的現象の参考としてはbansei.comページ内の静電気対策の例
移動と靜電気が参考になります。
このほか、防爆電気設備の完全な接地(アース)は必須の条件ですが、接地が完全であっても接地接続されていないケーブル類の危険場所への持ち込みも
瞬時が大事の例のように思わぬことで拡大被害の原因になってしまう場合があります。

 ★4・水素が存在する施設の法令など
 “爆発又は引火しやすい物質が蓄積し又は貯蔵される場所には電気機器は原則として設置してはならない・・・”
しかし、やむを得ず設置する場合には、日本国内の工場・事業所の電気設備機器で、爆発性雰囲気が存在する場所で使用する防爆機器は、公的な機関で承認されたものでなければならない。
 これらのことから、日本工業規格
JIS C60079に基づき製作したもので、TIIS社団法人産業安全技術協会防爆構造電気機械器具の型式検定に合格した登録済の防爆電気設備機器の使用に限られます。
 
これらの 防爆構造電気機械器具検定合格品 pdfについては、品名・申請者・性能・検定合格番号・有効期限が、web公開していますのでインターネットで確認ができます.
 また、水素やアセチレンガスの危険性分類については
爆発性ガスの分類表爆発等級(ガスのグループ)が「3の分類」であり、最も危険性が高いレベルであることの認識が大切です。 なお、水素など危険なガス・蒸気の取り扱いに関する防爆関連の法令等は次の通りです。
 
高圧ガス保安法】 【労働安全衛生法】 【消防法】 【建築基準法】 【電気事業法のほか、
 【石油コンビナート等災害防止法】 【道路運送車両法などにも関係して、特に防爆電気設備では
 
電気事業法:「危険防止に関する法規」の「電気設備技術基準」と(社)産業安全技術協会発行「工場電気設備防爆指針」関連のTIIS資料、および、(財)日本規格協会発行の爆発性雰囲気で使用する電気機械器具―日本工業規格(JIS)などについての情報把握が必要です。
☆これらの主要な防爆関連の参考資料は文末に一覧してあります。

 ★5・水素対応の防爆電気設備は早めに計画。
 水素対応の防爆電気設備機器や部品の殆どが,その接続部品や接合面の加工に高い精度が必要であり、その需要数も少ないことから“汎用品や在庫品”としての扱いは殆どありませんので、“注文から納入に至るまでには相当な日数を要します。”
 また、ユーザー側の施設に於いても水素やアセチレンなど爆発性ガスのグループ(等級)に属する箇所のみの対応となりますので、生産設備全体の電気設備から見ると、ごく限られた部分のみが防爆対応設備になります。
 この様に需要が少ないことから、限られた種類の中で選択した機器・部品を対応規格の仕様に合わせて追加加工しなければなりませんので、必ず事前に「仕様インフォーメーションシート」などを用いて、文書による仕様の提示をして、問い合わせや見積を依頼することになります。これらのことから、一般電気設備の工事の様に“現場の状況に合わせて「現合」などの現場加工”はできませんので、設備施工計画への組み入れには十分にゆとりを持った日程が必要です。
 なお、日本国内の施設に設置する防爆電気設備機器を選択するうえで注意が必要なことは、
1・防爆検定合格品であることの確認。2・対象ガスの適応規格を確認。3・用途の転用や改造をしないこと。 4・ネジやパッキンの仕様条件を遵守すること。5・設備の設計施工においては、対象のガス・蒸気の特性確認と共に(イ)対象設備の防爆構造(ロ)対象ガス蒸気のグループ(爆発等級)(ハ)機器の温度分類の3条件の確認が必要です。
 とくに、水素・アセチレンなどのグループⅡC(爆発等級3aまたは3n)においては、使用する機器・部品それぞれが、高い加工精度が必要であり、外観だけでは殆ど識別できないので注意が必要です
(例:水素対応の接続部品などは“管用ネジA級”の加工精度が必要です。)

防爆関連の書籍(このページの関わりのみ)

・防爆関係の構造説明:
「工場電気設備防爆指針」---------------------------・発行:(社)産業安全技術協会 /2008年
「防爆構造電気機械器具型式検定ガイド」---------------・発行:(社)産業安全技術協会 /1996年
・防爆初心者にお勧め :
「防爆電気設備の基礎知識」-----------------------------------発行:㈱オーム社  /2007年
「“防爆”電気・計装設備の計画・設計・施工」--------------・発行:(社)日本電設工業協会/1993年
・防爆機器の構造詳細説明:
「工場電気設備防爆指針(ガス蒸気防爆)」---------------発行:(社)産業安全技術協会 /2006年
・昔の防爆対策について:
「防爆対策・現場係員篇/下巻」-------------------------------・発行:九州鉱山学会 /1945年

☆日本工業規格 (このページの関わりのみ)

 ・JIS C 60079-0 : 一般要件
 ・JIS C 60079-1 : 耐圧防爆構造 “d”
  ・JIS C 60079-7 : 安全増防爆構造 “e”
  ・JIS C 60079-10 : 危険区域の分類
  ・JIS C 60079-11: 本質安全爆構造 “i”
  ・JIS C 60079-14 : 危険区域内の電気設備 
  ・JIS C 60079-18 : 樹脂充てん防爆構造 “m”
  ・JIS C 60079-25 : 本質安全システム
  ・JIS F  8009 : 舶用防爆電気機器一般通則
  ・JIS M 7615 : 防爆用ベリリュウム銅合金工


 ★★★column★★★ 「新しい規格と廃止規格」
 防爆関連の規格には厚生労働省及び経済産業省の省令が関係します。
例えば2008年にJIS C 60079-15:タイプ“n”防爆構造やJIS C 60079-18:樹脂充てん防爆構造“m”規格の発行などのように、順次、国際規格への整合や見直し変更・発行があるので、常に新しい関連規格の情報把握が大切です。
 反面、1921年(大正10年)に制定の工業規格から日本標準規格(旧JES)そして、現在の日本工業規格(JIS)へと受け継がれて、「平成10年まで存在したJIS C 0901炭鉱用電気機器の防爆構造」が廃止され、これらの基礎的な原理は現在の防爆構造規格に引き継がれています。また、「狭げき防爆型」構造の様に完全に消滅した規格もありますが、既に廃止された規格であっても現在の防爆構造に引き継がれた技術もあります。
以下はその狭げき防爆の説明抜粋ですが、現在の耐圧防爆構造の一部分に組み込みされて、長年蓄積してきたノウハウが今日に活かされています。つまり、安全は長期間のノウハウ蓄積に基ずいて継承して行くものなのです。
   (2009/3-点智人)   

この他のコラム

参考:狭げき防爆構造
 容器の内外を狭いすき間によって連結し、容器の内部でガスの爆発が起こった場合に 狭いすき間からガスが噴出することはあるが、外部のガスに引火する虞のない構造。
 (炭鉱防爆の場合、挟げきは真ちゅう平板で1ℓあたりの開口面積が60mm²以下の場合は1mm以上、60mm²を超える場合は、0.5mm以上のスキで奥行きは50mm以上必要でした。)
・耐圧防爆より簡易な容器構造で製作可能だが、接合面の変形等で防爆機能が失い易く、その後、耐圧防爆構造のケースに使う材質の強度向上から、現在の耐圧防爆構造“d”の一部に統合されたようです。

*参照:『防爆対策・現場係員篇/下巻 ・発行:九州鉱山学会/昭和20年2月発行より』   


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