作業内容と作業灯の種類 

製造・生産・作業などの言葉を聞くと、6S・作業環境とか作業安全や作業手順を連想されることと思います。そして、何れも「照明の状態を確認」してから作業を始めます。
 敢えて言うまでもなく、工場の照明を点灯したり作業の内容から必要な場所の明るさを確認して、明るさ不足であれば補助照明を準備するなど、作業は照明を確認することから始まります。
 つまり、安全と照明は全ての作業に優先しているのです。そこで、「作業内容と作業灯の種類」について、豊富な機種と実績を誇る「SAGAストロングライト」の使用例を基に「作業照明のヒントや実例」を紹介します。

作業用照明で注意すること

 先ず、作業を行う環境によって照明要件が異なります。例えば工場なら作業面積と天井高さ、また、作業する内容でも造船・橋梁のような大きな物から、精密機械部品のようにごく微細な物の加工のほか、水・油・化学薬品などの影響が及ぶ場所、更には、印刷・塗装・染色や食品検査など、照明による色の見え方が影響する仕事など、とても広範囲に作業環境や照明条件を考える必要があります。
 これら詳細な照度基準については“労働安全衛生規則(第604条)や日本工業規格(JIS Z-9110規格)の照度基準”で、作業内容と明るさの基準があり、更に詳細な工場照明については*社団法人照明学会の資料が参考になります。
*社団法人照明学会発行「新・照明教室 工場照明」及びJIEC/照明技術基準ほか「住宅照明基準(JIEC-005)」など、)

 このほか、実際に作業する人の視力や年齢によっても物の見え方が異なり、特に色・細かさ・歪みなどは、個人差による見え方の違いを自覚できない場合もあります。
 また、物が見えにくいとか肩が凝る・頭痛のほか原因不明の疲れなど、照明の明るさや光源色による物の見え方に関係している場合が多くあります。ですから○○の仕事には、メーカーの薦める△△用の作業灯などと決めつけるより、色々な作業の使用例を参考にして作業者自身が選ぶことが大切です。

作業灯も二刀(灯)流?

 “光って細くて長い刀のような”ストロングライトの形態から、小説や映画でお馴染みの「宮本武蔵の二刀流 (二灯流?!)」や「スターウォーズの光る剣」が思い浮かことぶことと思います。
 実際、あるレジャーランドのショーに使いたいのでスリムタイプのSL-40M型にカラーフィルムで5色の色を付けて欲しいと言う引き合いもありましたが、使用目的が異なりますのでお断りしました。しかし、別なショーでで振り回しているのを見た?との噂も聞きました。

 次に紹介するのは、剣や刀の代わりに使うのではなく、作業灯を大小2灯使って大変高度な仕事をしている重機械や航空機整備の例です。
 これら重機械や航空機の組立や整備の建物の多くは天井が10〜20mからあり、照明灯も0.7KWとか1kwのHIDランプなど大型のものが使われ、工場全体が粗い作業に十分な明るさが確保してあり、更に作業する場所の近くには壁付けやスタンド型のライトスタンドJSL-272やJSL-408・型 などで作業場所全般の明るさを確保するなどして作業を行います。
 しかし、作業する対象物が大きいほど、照明光の眩しさ(グレア)と影の影響を諸に受けます。更に機器内部の点検や整備作業を行う場合には、これらの照明光は届きませんので作業者個々に、作業区分全体を明るくするSL-40PA型などによる補助照明と手元を照らすLB-8A SL-13TR型などの局部照明が必要です。しかもこれらは、作業区分ごとに移動して使いますので、マグネットやフックで簡単に取り付け固定できる事も大切な条件の一つです。
 ちなみに、ストロングライトで照明部が僅か34oと細いLB-6W型は、ジェットエンジンのタービンブレードを目視検査する目的で開発されました。いわゆる現場の声で商品化した製品の一つです。

 

明るさよりも細さ

 照明はその多くが広い面積を明るく照らすことが理想ですが、仕事によっては狭い箇所を均一に照らしたい場合もあります。例えば、化学プラントの反応容器やボイラーの内部とか、それに接続されるパイプなど、いわゆる“閉暗部や狭窄部”の点検には、内部に挿入できる明るい照明が必要です。また、小形のペンライトやビーム照射の照明では光量が少なかったり、照射面の明るさが中心と周囲で異なるなど、目視の検査作業には物の見え方から何かと不都合があります。
 こんな場合、挿入口の直径がSL-LED30型ならば直径23oSL-13T型SL-40M型では穴径が55oあれば内部に証明灯が挿入できますので、パイプの接続口などから挿入して照らし、点検者は点検窓から内部を覗くことができます。これは光源と覗く位置が異なるので、逆光が防げ眩しさも無くなりとても点検し易くなります。
 このほか、狭い天井や床下の点検からダクトや配管内部、ドラム缶や容器の内部検査などにも便利です。特に変わった使用例として、金属パイプ加工の製品検査工程で、側面に加工した小さな穴位置の確認に、加工済みパイプの内部にSL-20PA型を挿入して、小穴から漏れる光点でチェックしている例もありました。
(▲注意:これらのストロングライトは防滴仕様であり、防爆仕様ではありませんので、薬品などの液中に浸したり粉塵や可燃ガス雰囲気中では使用できません。)

環境負荷低減が作業灯に影響? 

 最近の作業照明の関連動向で目立つことに、環境負荷低減活動による改善と効果も見受けられます。しかし、その中には努力のし過ぎや状況変化の見込み違いなどもあり、これから計画する人にとっては貴重な情報とも言えます。

 そこで、ある機械組立工場の例です。新年度の環境目標であるエネルギー消費量低減のため、工場内のレイアウトと照明設備を改善して「作業は明るい窓際近くで行い、材料や製品のストックは工場の中心寄りに置く」ことで大幅な照明エネルギーの削減と快適な作業環境作りをしました。しかし、季節が秋も過ぎ冬の夕方になると、窓側からの自然光が少なく天井の照明だけではとても作業できない状態に陥りました。このため、エネルギー消費が少なく、作業に必要な位置から照明できる作業灯ストロングライトSL-27P A型を備えてご使用頂いています。

 また、別の会社に於ける機械組立の現場では、潤滑油や防錆油・洗油の使用量からウエスの使い回し手順まで見直し、使用量や廃棄物の大幅削減計画をたてました。それは、ウエス一枚の例でも、1)新しいウエスは出荷前の製品を磨くのに使い、次に、2)水分を含んだものの清掃に使ってから乾かしておく、その後、3)製品組立中や製品内部の清掃に使う。そして、4)工具や備品の拭き取りに使う。更に、5)工具や機械類の清掃に使うなどしてから、6)汚れの程度を見て床や廃油浸み出しの拭き取りに使ってから、7)分別して廃棄と言う徹底した手順で“乾いた雑巾を絞る”ほどの努力なのです。

 ところが、ここでストロングライトは、4)5)の手順で油の付いたウエスで毎日丁寧に磨かれましたところ、他の樹脂製品と同様に透明な照明部分が曇ってスリガラス状になり、他の樹脂部分も艶がなくなってしまいました。・・・この、貴重な現場の方の経験から、薬品に強くて発光部が曇らないSL-13TE型対薬品性外筒仕様のストロングライトが生まれました。
 これは、メーカーとしてもその仕様や用途から作業灯に油が付いたら拭き取る事はあっても“油で毎日磨く”などとは、実際に現場からの声があるまで気が付きませんでした。これは、何か改善を行うと、直接関係しない他の物に影響を及ぼすこともある一例とも言え、情報収集の重要性を痛感しました。

 

明るく広く安全に照らしたい。 

 大きな作業現場となると投光器を使用するか電球がたくさん連なった“スズラン灯やランタン”照明が多く用いられています。これら白熱電球による照明で注意が必要なことは、電力の消費効率と電球が破損した場合の危険防止も考慮しておくことです。
 特に、作業用照明として多く使用している船舶用や耐震電球など透明ガラス製の電球が破損すると、夜間や床の状況によっては、その破片を探すのが容易で無いことは、経験者でなければ言い尽くせません。このように食品やその原材料を扱ったり、加工設備のメンテナンスなどでは「万一作業灯が破損した場合の安全性」まで対策しておく事も大切です。

 また、広い現場で安全なストロングライトを複数個使って“スズラン灯”の様に広範囲の照明をするには、連結タイプSL20PSA型(分岐用)と連結用ドラムコードMKD-21型を使用すると簡単に仮設配線ができます。MKD-21型では、最大20bの区間を10台のSL-36P型(36W)SL-40P型(40W)で照らすことができ、これは200Wの白熱電球を10〜15個点灯したのと同程度の明るさが確保できますので、大幅な作業照明の省エネルギー対策にもなります。なお、作業安全上「急に作業場所を真っ暗にしない対策」から作業場所への給電は、複数のドラムコードを使用して必ず別回路から給電するなど、突発的な停電による二次災害防止対策も大切です。
 このほか、通路やフェンスに沿わせて照明がし易く、ドラムコードを使わずに給電する直結用連結タイプSL-40PA-FA型などもあります。

青い色で真っ青!?
 

 仕事には、どうしてもこれでなければ駄目!「仕事のプロが仰るのだから」の実例で、いよいよ環境に優しくの思いやりが金型製作部門に・・・省エネ目標から照明の見直しとなり、工場内の“電球は全面的に蛍光灯に切替”の指示、しかし、この部門だけは絶対反対!何故なら「経験から蛍光灯では仕事にならん」と言う ?・・・理由は金型製作時の“ケガキ”作業で、蛍光灯の光では反射とチラツキで仕事にならない、だから入社以来愛用の“60w電球式フレキシブルスタンド”は絶対に手放せないと言う。
 そこで、環境の担当者が現場確認に来てピカピカの金属表面に“青ニスやら青タン”とか言う“マリンブルー”の色を塗って、昼光色蛍光灯の光を当てたら何と不思議?“スカイブルー”に変わってケガキ線と共にキラキラと光る!環境担当は青タン以上に“真っ青”!!

 そこでストロングライトからの提案、60w相当の明るさでチラツキが無いインバータ方式作業灯SL-13TR型の蛍光管を“電球色”に取り換えてフレキシブルスタンドに取り付けて試用したところ、従来と変わりない使い勝手であり、しかも熱くならないので、かえって作業がし易くなりました。
 このように、照明光の色と物の見え方については「作業灯と色で品質管理」でも、取り上げてありますので是非ご欄下さい。なお、このほか照明光に関する製品としては「紫外線探傷や蛍光マーキング検出用」のブラックライトSL-4RH型(注文製作)などもあります。

メンテナンスの現場の声から、

 OA機器のメンテナンスサービスをしている方の話しで、コピーやシュレッダーなどOA機器が設置してある場所は階段の下かロッカーの脇など、いわゆる薄暗くて狭い“陽の当たらない目立たない場所”が多いそうです。
 また、オフィスの花形機器も最近は随分と変化してきて、以前は、カラーコピー機が“入り口近くの目立つ場所 ”にデ〜ンと構えていたそうですが、最近は大型で薄いディスプレイパソコンに席を譲り、高価だったカラーコピー機は、狭い階段下のスペースで黙々と働いているそうです。そう言えば、会社の来客受付にいたお嬢さんも最近はダイヤルインの電話に席を譲ってますね?

 そこで問題なのが、狭くて暗いこれら事務機器の設置場所に於けるメンテナンス作業、以前はペンライトを口にくわえてでも何とか仕事になりましたが、近頃のOA機器は複雑で密な構造なうえユニットの交換となると結構重くて、ペンライトをくわえていては力が入りません。そんな現場で活躍しているのが、発光部の太さが22_で超小型のストロングライトSL-LED30型 です。
 事務機器があるところには必ずコンセントが有りますので、乾電池の消耗や明るさを気にせずに作業ができます。このほか、充電式でコードレスのLB-LED30A型は、各種保護管付き蛍光灯式作業灯の中では“最も小型で細い発光部”が特徴です。開発のコンセプトは、他のストロングライト同様に“現場の声を活かす”ことから、航空機整備でタービンブレードの隙間に差し込んで目視点検に用いる要求に応じたものですが、最近はその発光部が22oと言う細さからOA機器を始めとした機器類の点検整備用として多く使用されています。

下から上を照らす 

 通常の照明は殆どが上から下を照らしますが、作業照明の光は天井から床を照らすだけとは限りません。特に大型の機械や設備の故障個所は何故か普段見えない箇所や人が入りにくい場所が多いようにも思える?などと言うより、元々“機能性能を優先して設計するので手や光が届かない様な場所 ”でメンテナンスしなければならないのです。
 つまり、化学プラントの大きなタンクでも小形乗用車のオイルタンクでも、入り口は上にあって排出口は一番下、これの点検や修理は当然ながら仰向けに寝て作業するしかないのです。

 ですから、仕事のプロは作業環境を整えながら仕事をこなします。例えば、機械内部やタンクの下回り作業なら仰向けに寝て作業することになりますが、この場合はなるべく通常立って作業する照明と同様に、作業者の頭方向の床面に置いた作業灯から、天井と足方向に向けた照明が必要です。つまり、立って作業している照明条件をそのまま寝かせた状態で照明するわけです。
 このような作業用照明としてはフロア移動専用のSL-4150型が広く知られていますが、ストロングライトの60øシリーズにCH-60型キャスターホルダーを取り付けてフロア移動用としても使えます。また、作業場所近くにスチール製のパネルなどがあれば、オプション品のマグネットホルダーを使って、最も作業しやすい位置に作業灯を固定することもできます。

一般の作業照明とは別扱いが必要な作業灯について

 以上いろいろな作業状況を例示しましたが最後に、これらの一般作業照明とは全く異なる知識と取扱が必要な作業用照明として、石油化学プラント・薬品製造や塗装作業などのように、可燃性ガスや引火性液体を使用する作業場所の防爆型照明EXSL-27型があります。
 このような爆発性雰囲気の危険場所で使用する照明には、必ず防爆対策が法的に義務付けられています。
そして、これら防爆電気設備の設置取扱いについては、
防爆の規格・規則・基準があり、それに則った多くの専門知識と取扱いが必要ですので、「防爆機器の取扱注意と保全  など別に詳細な説明を用意してありますので必要に応じてご覧ください。

明るい職場

 製造・生産の現場に於いては、品質ISOや環境ISOに続いて“労働安全衛生マネジメントシステム”(OHSAS18001)が注目されています。文頭にある「安全と照明は全ての作業に優先している」は、作業現場でよく言われている「安全はすべてに優先する」労働安全の言葉に照明を付け足したものです。恐らくこれからの労働環境や作業安全の問題には、労働安全の基本である照明のありかたなども重要視されると考えられます。今まで何気なく言っていた“明るい職場”の標語は、もしかしてこの事を指していたのかも知れません。

                                              (2002年6月発行-2007年11月更新・作業安全アドバイザー、莫迦凡・信天翁、共同執筆)

       
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