■■■作業灯と色で品質管理■■■
▲文中の(*)印は、文末に注釈として関連資料を案内してあります。
★最近、次々と明るみとなった食品の品質問題、食品などの品質確認に不可欠な色の目視検査は基礎的な品質管理手法の一つですが、仕事にあわせて選べる作業灯が以外に役立つ?
食品、薬品などの品質管理には可、不可の二通りしかなく中間の評価はありえません。故意に行なった不正行為は別として、日本的な判断に見られる「不満はあるが良く頑張っている」や「まァこの位なら良いか」的な抽象評価を下し、可を与えてしまうと重大な事故を招きかねませんし製造や管理者の判断が甘かったとも言える事が原因で、悲惨な結末となった最近の報道や事故報告例(*1)は改めて述べるまでもありません。
特に食品については人間の体内に入り健康に直接影響を及ぼすのですから当然のことですが、他業界の製品に比べ「絶対にあってはならない・ウッカリでは済まされないなど」非常に厳格な検査が必要とされます。また、消費者が食品を購入したり選んだりするにあたっては、「売っているのだから安全であると」の潜在的な信頼にはとても高いものがあり、食料品店でパック詰めなどを購入する際や、飲食店で調理されたものについては殆ど疑いを持たないで、見た感じで選ぶのが普通であると思われます。これほどの信頼は、食品業界に従事する方々が長い年月に渡って培ってきたおかげです。この信頼を裏切らぬためにも一層の努力、厳しい品質検査が求められるのは食品業界の宿命と云えましょう。
■今日、明日に食べる物は、におい、味、そして見た目で判断するしかないのです。
食品品質の確認や検査には幾通りもの方法があり、理化学機器を使用する専門的な試験などの場合は別にして、ごく自然に行われている人間の五感による品質確認や検査の中で、簡易で確実な方法として、またフリータイミングの方法として、目視検査について述べます。完成した製品が生産中に行われた各検査を、全て合格していることを確認するのが最終検査で、この検査に合格してはじめて製造者を離れて・・・・・HACCP?ISO?などと、あまり堅苦しくなく!つまり、昼飯に食べてきたラーメンについて考えます。

ラーメン店の製造工程(調理と言わないところが専問的?)で言えば豚骨や麺を買い入れるのが受け入れ検査の段階で、麺を茹でたり調味料を入れたりスープの色合いを確認するのが製造検査で、チャーシュウの枚数と刻み葱の量の確認が出荷検査となり、・・・どの段階に於いても必ず目視つまり目で見ての判断が含まれています。これは、敢えて品質管理云々などではなく前述の「食品を扱う方の長年に渡って培てきた・・・」そのものと言えるでしょう。つまり、ラーメン店の調理場では人間の経験と五感による判断が最終決定になり「ラーメン一丁あがり〜ィ」と言うことになります。
但し、この場合感性には個人差があり、ばらつきもあるので全作業者、従業員に「チャーシュウや葱の量はこの位」などの共通の指標を持たせるためのマニュアルが必要になるでしょう。ところがチャーシュウ何枚という数量の場合は良いですが、経験と感で調味したラーメンのスープの味をほかの者がスープの色で味を確認などとなると「見た感じがいつもと違う」や「少し濃いようだが夜だから」など、見た感じと覚えていた事で感じとる?のは難しいものです。まして、食材の産地とか種類になると確かな目と正しい光で判断するしか無いと言えるのではないでしょうか?
■前口上が多すぎますが、ココから照明=作業灯です。
感覚というものは周囲の環境の影響を受けるのでマニュアルの中でいくら指標を設けても絶対値とはなりません。たとえば、色の変化によって食品、食材等の変質や加工内容を見極めることができますが、照明灯の光の色温度、光束、演色評価数によって見え方が(*2)変わってしまいます。 物の色が物体の変化として認識できるのは光源から放射された光が物体に当たり、反射した光が目に入ってくることによるのですから、元になる光源の内容が変われば物体の色も当然に変わって見えます。つまり作業や検査する場所の明るいか暗いかによる濃淡の見え方の違いも生じます。また、同じ照明の下でも見る角度によって見え方が大きく異なります
例として一定の照明の条件下で一つの箱を置いて、ある方向から見たときに、それぞれの面が違う色(濃淡)に見えるのは云うまでもないことでしょう。つまり、色の変化によって食品、食材の変質/劣化や加工内容を読み取るのであれば、あらかじめ色を見る方法つまり、照明や検査の環境や基準を決めておく必要があり、照明器具や発光源の統一が必須となり、特に蛍光灯では光色やメーカー名迄に配慮が必要です。
また、色の見え方は背景によっても変化します。同じものが明るい背景であれば暗く見え、暗い背景であれば明るく見えてしまう、色の相対性は周知のとおりです。ですから、壁の色や容器などが変わった時や、新たな設備機器が導入されたり照明器具や光源を取り替えた折には、色見本などでの確認や作業者への周知徹底などの注意が必要です。特に加工中の色合い確認や材料投入前の品質劣化を色で判断する場合は、必ず同じ位置・同じ照明(*3)であることが必須条件です。これら色の関係する品質確認作業で大切なのは、自然光で見るか・自然光に近い照明で見るか・検査専用の波長の照明を使うかのいずれかとなります。
つまり、基準となる光の色温度、全光束、演色評価数が関係(*4)するので、製品の品質管理や検査を色で行うならば、必ず基準となる標準色見本と適切な照明手段を整えておく事が大切です。 物の色が物体の変化として認識できるのは光源から放射された光が物体に当たり、反射した光が目に入ってくることによるのですから、元になる光源の内容が変われば物体の色も当然に変わって見えます。工場内では自然太陽光(晴天時で日の出後3時間から日の入り前3時間迄の北側からの入射光)だけによる検査は不可能なのですから、品質確認や製品検査に用いる照明手段は常に安定した照明環境を維持するために、特に蛍光灯などでの照明は必ず同じメーカーの同品種の使用と累計点灯時間及び検査位置などが、同じ条件であることの指示確認のマニュアル化が大切です。
また食品や連続加工で大量生産する製品のように全数を検査できない場合は、加工工程または生産管理そのものの確認検査が重要であり、設備そのもののメンテナンスなども、品質維持の要と言えます。 以上、製造物責任や品質保証・環境と意識高揚のある今日これらを全従業員に浸透させ徹底させてこそ目視検査は有効となります。そして目視検査を行う際の環境の統一、一貫性、マニュアル化などこれらは全社的に行うべきことで管理責任者が変わっても容易に変更してはならない、正に「初心忘る可からず」なので、文頭の「可を与える」か「可からず」なのかが大切なのです。
■参考文献及び関連の資料
(*1)(財)日本消費者協会発行「事故情報収集制度報告書」及び、(社)商事法務研究会発行「製品分野別製造物責任判例の研究」などが参考になります。
(*2)色の見えかたに影響する作業灯の光源は、蛍光管の種類(分光分布)を変えることで対応することもできます。なお、色に関する書籍では「発行所:(財)日本規格協会の色をはかる」が理解しやすく参考になります。
(*3)材料や加工工程の確認及び機械保守作業などには、保護ケース付きの蛍光管式作業灯一覧は、ココをクリックしてご覧下さい。
(*4)照明と色の見え方について社内標準などを決めるときは、・JIS規格 Z−8716/表面色の比較に用いる常用光源蛍光ランプ ・JIS規格 Z−8718/観測者条件等色度の評価方法 ・JIS規格 Z−8720/測色用標準イルミナント及び標準光源 ・JIS規格 Z−8723/表面色の視感比較方法(解説部分)などのJIS規格票も参考になります。
(内容は、1996年12月に、このホームページの前身「なかまぼっくす・FAX情報サービス」にPL法対策の話題として掲載されたものです。最近の食品品質の問題から参考までに更新しました。なお当時の諸規格、規定、法律判断などと異なる場合もある事をご承知下さい。)