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現場で起きた生の声からのレポートを中心にPL対策や製品安全のヒント集です。
発行番号hp4-7-01/01〜10(2000年7月7日更新)

恐しいことは・・・行き着く先が同じ?


 このページは、メーカーが警告表示デザインや製品の安全対策をする上で、役立ちそうな考え方や話題を蓄積した「バンセイレポート」から抜粋集約したものです。1995年の日本に於ける製造物責任法施行の前後と1998年のアメリカに於けるANSI規格改訂頃の記録が多くありますが、その後の業界団体等の規定改訂そしてメーカー自らの対応の見直しなど、まさに現場で起きた生の声からのレポートが中心です。なお、一部に於いては、既に一般常識となっていたり規定等が変わっているものもありますが、これから製品安全やPL対策をすすめる上で参考となるものは、「こういう考え方もあった?・・・しかし・・・こうする方がもっと良い!」など、読者が「読んで考えて批評して、現状にあった新しい考え方を創る」そのネタやヒントとしてご利用頂ける内容となるようにまとめてみました。           
                         (発行:BANSEI/筆者:莫迦凡) 


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◆製品出荷後は表示が頼り(01-10)
メーカーから出荷された後の製品は、流通を含めて使用者側でどのような取扱いをされるか予想できません。この事から、警告ラベルや取扱説明書などの表示においては、耐久性と材質や取り付け方法(6339#)なども含めあらゆる条件を想定して明確な警告をしておかなければ、「警告表示が無かった」「表示が理解できなかった」「他の製品ではこうであった」など、思わぬクレームが起きる心配もあります。ですから、必ず、説明書を見て取り扱うことの表示、そして危険が存在するものには、分解や取り外し改造されても、重要部分に警告表示が残る手段までを考える必要があります。
例として、製品の箱などの包装に表示・製品を取り出したら製品本体に表示・製品の蓋などを外したら内部に表示・組み込まれている危険な部品に表示・そして、マニュアルに表示したうえで、予備のラベルを添付するか、ラベルや説明書の入手方法をマニュアルや保証書に記載しておくことが理想ですが、コストや表示手段から不可能な場合もあります。この様な時は、「危険原因を取り除く」か「危険原因に近づけない」ための表示が必要です。例として高電圧の危険であれば「修理の際は、電源コンセントを抜いてから・・・」とか「高電圧危険、カバーを外さないで・・・」など、事故との遭遇を元から断つための表示です。



◆担当になった途端に解らなくなるPL対策(01-09)
PL対策の担当になった途端に募る不安からか、自分で警告表示内容の判断ができなくなってしまう例が多くあります。これは、自分の考えひとつで企業の存亡にかかわる程の責任の重さを思うと困惑するのが当然といえます。しかも、「事故情報収集制度報告書」などの様に、各関係省庁や業界団体等で報告や配布しているPL事故資料についても、当然ながら内容は全て過去の事ですし、全く同じ様な状態なら欠陥品なのですから、そのままでは参考にはなりません。つまり、自社のPL対策は担当者が把握している知識と判断に頼るほか無いのです。これは、PL法そのものが今後のPL訴訟の判例の蓄積や、欠陥の判断基準内容がその時代の技術水準などと共に変化するなど、不特定な要素を含んだ法律でもあるからです。ですから今すぐに自社製品のPL対策のために、本や資料を参考にして類似製品の安全対策例をそのまま応用しようしても、製品製造全体のノウハウ公表が無い以上、そのまま実行できる実用書などあり得ないと言えます。この事から、現時点でPL対策の判断基準の設定方法としては、自社の経験やデータを活用する事と、多くの業種や類似製品のPL対策内容を比較検討してから、自社商品の安全性レベルを判断する他にないと言えます。つまり、製品の過去のクレーム内容や故障、改良などの内容分析と、他社製品との比較をして自社製品のレベルを自己判断する方法です。そして更に第三者からも意見が得られれば、一層理想的な安全の判断基準となります。なお、ラベル製作の仕様決定例として(1566#)があります。



◆お守り札のように誤解しているPL表示(01-08)
PL表示対策の話題に於いて、「どんなデザインの警告ラベルを貼って於けばクレームがつかないか?PL対策に効果ある標準のラベルが欲しい?」などが有り、PL対策の表示を神社やお寺のお守り札?的な考えや「どんなマークを付けておけばPL法が免責になる?指定通りに使用しないと責任を持てないと表示?」など、何か知らないけれど警告表示をしなければ!とか、言い訳や責任逃れ目的とも思える内容もあります。これら混乱や誤解の原因として、  PL法が施行された時点ではJIS規格がISO規格に未整合だったなど、表示に関する規定や規格が充分でなかったために、それぞれの業界団体では独自に準備をしたりして、表示に関する目安がつかめない事にありました。しかも、市販の書籍類に於ては多くアメリカのANSl規格(1998年大改訂説明にリンクできます。8345#)や、それらのシンボルマークが参考例として多く紹介されていたために、一層混乱を来たしていたものと思われます。とにかく、表示に関するPL対策で最も大切な事は、業界や他社製品の状況把握と、表示説明している内容と製品との整合性があることです。幾ら警告表示しても、使用者が認識困難なマークであったり、製造者の言い逃れの説明であっては、逆に、その表示が事故責任を拡大する恐れさえ考えられます。PL表示対策の基本は、どうすればユーザーと製品の安全が合理的に確保出釆るかだけを考える事で、根拠無しで他社製品の物まねや見掛けだけのPL対策は避ける事です。



◆安全と言う言葉の恐さ(01-07)
「安全ピンが抜けて・安全装置が動作せず・安全機構で保護できず」などが原因で事故が発生したなら、その機能や性能を別にして考えると使用者が「安全の言葉」に頼り過ぎたり誤解して事故に繋がることも考えられます。このように機能表示で安易に「安全」の単語を使用すると、ユーザーが「安全だけを信じ危険を忘れる」恐さがあります。「安全のため」を「危険なので」にしたり「電気の安全装置」を「感電防止装置や漏電警報器」などのように、具体的な動作や機能効果を表示して、ユーザーが安全の言葉に惑わされない対策を取っておく必要も大切と思われます。しかも、この問題は安全の言葉ばかりでなく、曖昧な表現と共に日本語が良く解らない外国の方にも注意が必要で、身近な例では「燃えるゴミと燃えないゴミの違いが解らないとか、往復切符を買うのに“行って来ます”下さい?」など、普段何気なく使っている言葉でも人によっては、思いがけなく理解しにくい言葉があることにも配慮が必要です。これらの事から警告や注意表示の場合、絵表示(ピクトグラフ)や警告シンボルとの組合せ表示がとても重要な事と、ザイロンなどを使って(9580#)急ぎ表示を改善する必要があります。



◆安心・簡単・最適などは文句なし?(01-06)
「簡単操作!動作確実!安心設計l」これは、広告などで良く見聞きする言葉ですが、この表示の製品が原因で事故や災害が発生したなら、その起因は別として被害者が製品欠陥を指摘する格好の理由やヒントにすることは確実ですし、メーカーも言い訳に困惑するのでは無いでしょうか?。これらの言葉は、設計者やメーカーとしては製品を誇る気持から宣伝に用いたくなる心情は理解できるのですが、ごく短文の説明であっても、一旦事故が起これば表示上の欠陥責任を問われかねません。しかも、この種の「アイマイ」表現はPL訴訟とは別に、悪質クレームの種にされ易い表示なのです。特に宣伝広告などは別として、製品の注意や警告表示の指示文やマニュアル内に用いる場合には、文章の文脈を良く考え合わせて十分なチェックが必要です。また、これらの表示問題とは異なりますがマニュアルの説明や用語内に「差別」に繋がるような言葉が含まれていないかの確認も大切です。



◆誤解されないための表示(01-05)
PL対策の会話の中で誤解の多い言葉に「故障と欠陥」や「信頼性と安全性」が混同されている例が多くあります。例えぱ「この機械は良く故障するので欠陥品」と「この機械で怪我したので欠陥品」ではPL法上での欠陥の意味が全く異なります。また「この製品には信頼性の高い部品を使用して安心」と「この製品は安全性の高い設計をして安心」でも同様に言え、ごく短文であってもその表現によっては、責任や対処方法が異なるので注意が必要です。
似たような例で、コピー機のようなガラステーブルの付いた機器の注意ラベルで「強化ガラス使用」と「ガラス面に重い物を載せないで下さい。」の表示があったために、はたして何が特徴で何を注意したらいいのか解らないとか、「ハンドルを前方に倒して下さい。」の表示が機械の前方なのか操作する人の前方なのか判断できないなど、一寸した言葉でも判断に迷う例が多くあります。しかも、これらの例では設計者自身が他から指摘されるまで全く気付いていなかったのです。ここで、警告ラベルで思い違いの笑い話(2442#)です。



◆指示と結果について(01-04)
「自動車のアクセルを軽く踏む」の表示が、結果として大型トラツクが加速された状態になる事は、設計者も運転者も理解できることです。また、家庭で使う針やハサミなどは小さくても「扱い方によっては危険」であることは表示が無くても常識です。しかし、小型で簡単な操作の道具や工具に於ては、その外観と操作からユーザーの感じ方によって、危険発生を認識や想定しにくい場合も考えられます。特に、本来の機能効果を得るために、圧カ、バネ、電流の他、薬品の混合など、残留や反応による隠れたエネルギーがPL安全対策の盲点になる場合があるので相当な注意が必要です。身近な例としては、自動車のジャッキを使用しているときの力とか、テレビの電源を切っても暫くの間高電圧が帯電していること、お菓子などの食品用乾燥剤が水濡れすると火傷する程に発熱する物もあるなどが理解し易い事例と言えます。また、製品の修理・保管・移動など、使用目的外の状態に於ける安全対策や表示の耐久性を試験する(7343#)なども考えておく必要があります。



◆製品寿命と警告表示について(01-03)
最近まで「使い捨て○○や使い切り△△」など、殆ど再使用を考えずに設計してきた製品の耐久性や、その機能維持期間や警告表示の在り方など、他の商品とは異なった対策が必要です。これは、製造物の責任期間が製品引渡しから10年と長期間に渡ること、価格が安いことから安易に分解や改造したり、他の用途に転用しての事故などの他、大量に生産され広域に流通するなど、危険予防に関する注意警告表示のしかたにも、自ずと限界があると言えます。しかも、これらはガスライターやレンズ付きフイルムの様に、十分警告表示できるスペースもありません。こうなってくると使用者の常識に頼る他ありませんが、購入や使用する年齢層はとても広くそれにも期待できません。こうなってくると製造する側がマスメディアなどを使って安全の周知活動を積極的にして常識化するしかありません。また、生産数の少ない小型の製品の場合は、大きなパッケージで表示スペースを設けるかタグなどを付けて表示しなければなりません。参考までに警告ラベルの大きさについて(7342#)があります。



◆選定基準には歴史や実績が大切(01-02)
新しい製品は高品質で高性能が当然で既存製品より優れてる?しかし、その新しい製品は当然ながら使用実績だけは未確認。製品の耐久性など試験方法に加速や促進試験の手段はありますが、いずれも設計者やメーカーが想定した条件だけで行ないます。しかし、実際の製品使用では幾つかの使用環境が複合変化して、劣化要因となる事に注意が必要です。(例として:温度・湿度・空気・光の他、触媒作用等の化学反応や振動・摩擦などの物理変化など)このことから、PL対策では過去の事例やデータがとても重要な検討項目となります。しかし、新しい製品や材料には使用実績が無いために不安であり心配なので、促進や加速して短時間に試験しようとするのですが、屋外耐光試験(日焼)の結果だけは、短期間の促進試験データーでは殆ど目安にならない場合があります。
特に、プラスチックなどの材料は、その材質ばかりか色彩でも耐久性が異なります。こうなると材料選定するには、メーカーのデーターに頼るか自社で蓄積してきた過去の実績にしか頼れません。とにかく新製品ができたら将来のためにスグ製品のサンプルを野ざらしにしておく事です。類似の耐光性の話題ではカラスの日焼け(9572#)があります。



◆もう忘れかけてる?PL対策(01-01)
あれほど騒がれたPL法施行ですが、自社の経営に重要な関わりが有ると言う意識が薄れてきた様にも思えます。これは、PL法施行当時のような啓蒙啓発活動も少なくなり、担当者の交代や既存のマニュアルに依存で緊張感が薄れマンネリ化しているのが原因かも知れません。しかし、最近の「事故情報収集制度報告書」などにもあるようにPL事故訴訟は毎年増え続けています。しかも、マスコミが騒ぐ工場爆発のような大きな事故でないと、その多くが当事者間で話し合い、解決とか和解で処理されてしまうため、多くの人に知れ渡らない・他の者の改善資料とならない、だから事故は少なく見える=現実の厳しさが掴めないので、責任意識が薄れてきているのでは無いでしょうか?ちなみに未だ当時と同様に危険をはらんでいるのは「自分は加工業だから・機械設計しかしていないから・仕出し弁当造ってるだけ」など、自身が責任の主体者で有る事にさえ気付かず、全くPL法に関係しない他人事と誤解している人が、結構多く見受けられる事です。もっと恐しいことは環境ISOなどとの繋がりや広がりがどうなって行くかです。



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