LANケーブルの移動と静電気

LANケーブルの移動使用と静電気帯電の問題と安全対策
(2)静電気除電とアースについて

ネットワーク機器設置や配線作業でLANケーブル布設時の静電気帯電問題について情報を得たのは、弊社LANケーブルリールユーザ様からの問合せにおいて「展示会場で布設中のLANケーブルをHUBに接続したとき故障(ラッチアップ?)が発生した際です。
 
LANケーブルを接続換えするまでは正常に動作していたので、静電気の影響ESDと思われる。念のため未接続LANケーブルのRJ45プラグのピンに低電圧用の検電ドライバー触れてみたところ“両端が接続されていない状態なのに帯電している。何故!?”と言うご相談でした。

移動すると静電奇が起きる!!


 ・・・そこで、汎用LANケーブルに限った
静電鬼!について、
 (1)
移動と静電気帯電(2)静電気除電とアースについて述べると共に、現場でできる(3安全対策ツールの実例です。
 文中カッコ内の文字は関連情報をweb検索で把握するための検索キーワードです。
  専門用語など、詳しい説明が必要となったときは主要な検索エンジンの検索枠に 
カッコ内の文字を入力して検索アクセスして、説明の補足としてください。

LANケーブルの除電とは
 
(1)移動と静電気帯電では、LANケーブルの静電気帯電によるESD障害について述べましたが、ここではどの様な対策が必要なのかを
LANケーブルリールなどを使用している【なかまぼっくすの仲間】からのアドバイスや実例で安全対策のヒントです。

LANケーブルリールを用いた分配の様子。ケーブルの移動によるESDに注意。

まず、web検索で静電気の除電をキーワードにして検索してみるとお分かりの通り、LANケーブルに限った静電気の除電(放電)対策や資料が紹介されたページは殆ど見当たりません。概ね関係するものとしては、LAN機器類の取扱い説明に於ける“接続前に除電してください。”とか“必ずアースに接続してください。” の警告注意がある程度であり、更にケーブルメーカの資料などでも“LANケーブルは接続しなくても自然に静電気帯電します。”とか“帯電したケーブルはアースに接続して除電してから接続すること。”などの説明がある程度であって、具体的な対処方法としてアース(接地)に接続する必要性を述べている程度です。
 これは、
ネットワーク機器やLANケーブルを取り扱う人は、電気や通信につて知識を有する者である事を前提としていますので、当然と言えば当然な説明や警告と言えます。
 ところが、
LANケーブルの取扱い注意例のように「電気やコンピュータには縁がない」とか「パソコン使えてもケーブル接続できない」などとは言っていられない状況に陥ってしまい、急遽このページをご覧になった方の中には、“アースや接地”どころか、今、手にしているLANケーブルのカテゴリの意味を知るために検索アクセスされた方もおられると思います。
 そこで、初めてLANケーブルの
布設や接続作業をする方に “LANケーブルの静電気除電”について、簡単な説明と具体的な実施例です。

LANケーブルを一纏めにして移動できるLANケーブルリールの使用例。

ESD対策のアースと一般のアース
 
まず、静電気障害(ESD)対策で大切なことは、アース(接地)の意味を理解しておく必要があります。
詳しくは
アース 接地でweb検索してお調べ頂くと避雷、感電防止、通信障害防止、ノイズ防止、静電気障害防止など、大地を電気回路の一部として電位を均等化するなど色々ありますが、大まかに言って電気洗濯機などからアースを取る場合のアースと、ここで説明するESD対策のアースでは目的が異なりますので、あまり深く考えないでお付き合いください。
 以下、
ESD対策する目的のアースは、表 :アースの種類と目的のとおり静電気のエネルギーを消滅させるための接続回路と理解した方が解り易く、一般の家電製品やパソコンなどの感電やノイズ防止のアースとは違った意味や目的があります。

アースの種類と目的

アースの種類 目的 内容
 a)避雷針のアース  雷害防止のみの接地で落雷の大電流を
 大地に流す。
 建築基準法による建築物等の保護 
 b)電気設備機器のアース  設備機器の回路やケースを接地して漏電
 や感電から保護する。
 電気設備技術基準、内線規程など火災や
 感電の防止など、
 c)ノイズ対策のアース  情報通信・計測制御・音響映像・機能動作
 の保安など、 
 情報特性の維持や誤作動の防止
 d)静電気障害防止(ESD  静電気障害防止の放電静電気帯電防止
 の接地。静電気エネルギー の消滅。   
 半導体の保護・異物の付着防止、引火爆
 発防止(防爆規定)など、

       これらのアースには接地抵抗により・A種(10Ω)・B種(150Ω)・C種(10Ω)・D種(100Ω)の4種類があり、接続する目的対象により
  アースの種類が規定されています。
  最も簡単確実なアース接続先としては、電源コンセントの接地端子か新しい建築物で等電位ボンディング
  JIS A4201JIS C0367-1の施工された接地端子を使用するのが安全です。
  d)静電気障害防止(ESD)に於いてはアースの種類に直接関係なく、静電気のエネルギーを消滅させるための
  接続回路(電子の流れ道)や【静電気の等価回路】に於ける機器のケースや大地側を指します。

ESD対策のアースは電荷の動きが重要
 
表:アースの種類と目的の各種アース中でa)〜c)のアースは、導体(電線など)を通じて感電や漏電の事故防止を目的とするのに対して、d)の静電気障害防止(ESD)目的のアースは、必ずしも導体や電線を用いた電気回路でないことに注意が必要です。
 静電気帯電は電気を通さない絶縁物(PVCやポリエチレンなど)において摩擦・剥離・誘導などにより発生して帯電します。一方、導電性の金属(導体)は自由に電荷が移動できるので、静電気の発生があっても帯電は起こりません。
 しかし、絶縁体の帯電物に導体の一部分が接近した場合は、その部分に帯電物の逆極性の電荷が集中し離れた場所の電荷が少なくなります。このようにESD目的のアースは導体と絶縁物が入り混じった組み合わせの回路に繋がる事になりますので、詳しくは
静電誘導と誘電分極で検索してお調べください。
 例としてLANケーブルのシースは絶縁物(PVC)なので(1)
移動と静電気帯電の通り静電気帯電が起きます。この場合、LANケーブルの芯線(導体)をアースに接続し、床面と同電位に近くすることでESDを回避できます。つまり、LANケーブルの絶縁物芯線アースに接続大地建築物のアース床面LANケーブル外装の絶縁物の順で電荷の移動が成り立ち、両極性の電位差が小さくなれば除電されたことになります。
 この流れを電気の回路に当て嵌めると回路の抵抗(R)と静電容量(C)で表せ、LANケーブルに於けるESD対策のアースは、部分的なアース接続だけでなく大地から建物や床面全体の電荷の流れを考え合わせる必要があります。つまり、家電製品などのアース接続とは異なり単なる接地抵抗や電流の問題だけでなく、帯電物の両極性間の電位差・静電容量・絶縁抵抗が関わる複雑なものとなり、これが “原因不明の原因”と言われる所以です。



LANケーブルの除電は、静電気の電荷全体の動きを考える必要があります。

 アース以外の除電方法は?
 web検索で静電気対策のキーワードで検索すると、様々な帯電防止や除電のための機器や用品を知ることが出来ます。
これら静電気の除電や帯電防止の適応範囲は大変広く、ごく小さな電子部品から設備機器や工場全体にまで及びますことから、アースによる除電方法を始めとして
イオナイザーや空気の加湿器とか帯電防止剤(薬品)など色々な方法や器材があります。
 しかし、
移動使用するLANケーブルに於いては(1)の移動と静電気帯電でも説明の通り、LANケーブルと言う物体の内部に蓄積された電荷、つまり、閉ざされた物体内の静電気エネルギー=蓄電器(コンデンサ)内部の蓄積エネルギーと同様な状態になりますので、LANケーブルの外装(シース)全体にイオナイザーや加湿器を用いたり帯電防止剤を塗布しても、帯電しているLANケーブル内の電荷は移動も変化もしません。
 その考えかたとして静電気ではありませんが、乾電池の一方の電極に豆電球の片方のリード線だけを繋いでも点灯しないことを思い浮かべると理解しやすいと思います。つまり、LANケーブルの芯線と外装(シース)間の電位を0もしくは小さくするには、この間をショート もしくはアースを経由するなどして電荷を移動(電流の流れ)させなければ、静電気帯電を除去(除電)することが出来ません。
 ところが、LANケーブルのようなケーブル類は、片方の極性側が芯線の導体(銅線)であって、もう一方の極性側が絶遠物(PVC・ポリエチレン)などになりますので、先の乾電池と豆電球の例のように直接電線で接続して電流を流して放電させることが出来ません。
 (1)の移動と静電気帯電における静電容量測定例の写真例が、LANケーブルの芯線とアルミの皿によって、床上を引き回すLANケーブルの模擬回路を構成して静電容量を測定した様に、LANケーブルが接している床面やアース線を経由した放電(除電)回路を構成しなければならず、部分的なアース接続よりも大地から建物の床面全体への電荷の流れを考え合わせる必要があるのです。
 これは、一般のアース接続ばかりかイオナイザーや空気の加湿器とか帯電防止剤などを用いても除電することが難しく、LANケーブルの除電にはESD対策のアース接続はもとより、電荷全体の動きを考える必要があります。そして、除電目的でアース端子に接続すると言う事は、電荷の流路を最短の距離で繋げるということであって、それが即座に静電気帯電のエネルギーを打ち消す事でもありません。
 静電気の帯電を除電するには、そのエネルギー量と全体の回路抵抗及び放電時間が関係しますので、詳細は
静電気のエネルギーで資料検索することとして、次項(3)安全対策ツールの実例は安全対策のヒントとして簡単な静電気除去の方法とツールの紹介です。
 

関連ページリンクと資料収集
  bansei.com
では、製品を導入して頂く検討段階で資料・情報などを把握して頂き、最良の選択をして頂くよう努力しています。  

 
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 【Q1215:(2)静電気除電とアース】